遠州織物を楽しもう♪はままつ染め織りマーケット

はままつ染め織りマーケットとは?

10月は気候もよくて、おでかけにぴったりなシーズン。
そのためか、今月は面白そうなイベントが毎週あります。

今回は「はままつ染め織りマーケット」に行ってみましたよ。
このイベントはTwitterで知ったのですが、ワタクシ地域の特産品に興味津々なのでわくわく。遠州地域は繊維産業が昔から盛んだったんだよと地元の人から教えてもらっていましたが、しっかり製品を見たことはなかったのでぜひ見たい!

はままつ染め織りマーケットのチラシ

はままつ染め織りマーケットは10月26日、27日の2日間、土日の開催です。
時間は朝10時から17時まで。

会場は2か所に分かれていて、遠州織物を使ったかわいい雑貨や洋服の展示販売を行うクリエイターゾーンと、繊維関連事業者による生地などの展示販売やワークショップを行う職人ゾーンです。

クリエイターゾーンはAny(エニィ)という展示スペースで、
職人ゾーンはThe GATE HAMAMATSUが会場です。
詳しいアクセス方法はブログ下部の「アクセス&MAP」をご覧ください。

高い品質を誇り、海外の有名ブランドにも使われている「遠州織物」。
「つくる」産地だからこその「染め」「織り」のオリジナルアイテムが並び、体験することで職人の技術力や産地の魅力を知ることができます。「遠州織物」を知って楽しむマーケットをぜひお楽しみください

はままつ染め織りマーケットチラシより

職人さんや作家さんに実際に会える機会ってめったにないので楽しみです。

遠州織物ってどんな製品?

元他県民のワタクシ、オチャコ。
遠州織物って、はてどんな製品なんだろう。
以前、磐田市の新造形創造館で見たのは、縞模様が特徴的な紺色の生地だったような…。

遠州織物とは?

浜松市を中心とした遠州地域は、豊かな水源と温暖な気候に恵まれ綿花の産地として栄えました。江戸時代には藩主の奨励もあり、手織りの織物が農家の農閑期の副業として定着。明治に入ると洋式紡績工場が設立されて生産量が増加し、地場産業としてさらに発展しました。
戦後の復興期には、繊維産業は日本の主要産業へと成長します。遠州織物は、三河(愛知)、泉州(大阪)と並ぶ日本三大綿織物産地の1つに数えられるようになり、全国に広まりました。
遠州織物は、遠州地域で織られている織物の総称であるため、決まった織り方や生地があるわけではありませんが、共通しているのは多種多彩な織りや染めの技術が非常に高いことです。

はままつ染め織りマーケットチラシより

なんと…江戸時代から遠州の人々は副業していたんですか。昔から働き者です。

綿の種を取っている様子

上の画像の木製の装置、綿繰り機(わたくりき)というそう。
右側のハンドルを手でくるくる回しながら、左側のローラーに綿の実を持っていくと…

綿が種と綿に分けられた

反対側には綿だけがうまい具合に分離されます。
種は綿繰り機の手前側に落ちる仕組みです。
クリエイターゾーンにお邪魔した時、遠州織製品を販売していたおばあちゃんが教えてくれました。 今の80代くらいの人には懐かしい道具なんだそう。

分離された綿の種。
実は使い道があって、油を含んでいるから火薬とともに花火の中に今も詰め込まれているんですって。大きな打上花火の中身、綿花の種だったんですね。最後まで使い切って無駄がないな~。

明治期には、トヨタグループ創始者の豊田佐吉さんが国産初の「木製小幅動力機」を発明したことが綿織物の生産飛躍のターニングポイント。手作業から自動化へ。遠州の工業都市化へのスタートラインだったかもしれませんね。

意外だったのは、遠州織物は特に決まった織り方や柄がないこと。
うん、意外だなぁ。

かわいい雑貨はクリエイターゾーンにあり

最初に訪れたのは、遠州織物の雑貨を扱うクリエイターゾーン。
コミュニティスペースAny(エニィ)が会場です。

遠州綿紬の生地

そう、これです!
入ってすぐに目に飛び込んできたこの生地。
私の中の遠州織物のイメージは紺色シマシマで、この製品はまさにそれ。

遠州綿紬というそうで、遠州織物のルーツらしい。
「遠州縞」という独特な縞模様も特徴。
紬はちょっとシブくて大人な雰囲気ですね~。

遠州織物は決まった織り方や柄がないとチラシに書いてありましたが、こういう独特な縞模様を残しつつも自由に作っていいよ~という寛容な雰囲気だったんでしょうかね。

遠州織物の帆布バッグ

てっきり、遠州縞の製品が多いのかなぁと思っていたのですが…
なんと帆布バッグを発見!
優しい色合いでデザインもシンプルでかわいい。
帆布だから生地がしっかりしています。
これも遠州織物。

遠州織物の巾着バッグ

別の棚に行くと、おしゃれな巾着バッグがありました。
色や雰囲気からは皮製品ぽくも見えるけど、こちらも遠州織物。

色んな厚さやデザインがあって面白いですね。

遠州織物の犬型スマホスタンド

キュートな犬型メガネ&スマホスタンド。
メガネ似合ってるヨ!

まさかと思うけど、やっぱり遠州織物。

遠州織物のカメレオン型スマホクリーナー

かわいいカメレオン型のストラップ。
舌をびよ~んと引っ張るとスマホクリーナーが出てきます。
かわいいアイディア商品ですね。

この縞模様は遠州縞…な気がする!

遠州織物のクッション
遠州織物のふかふかのクッション

はーい、ここはクッションや座布団がたくさん。
和室に置くと一気におしゃれになりそう!
遠州縞だと思いますが、色の組合せでだいぶ印象が変わりますね~。

あれっ、奥の方に宙吊りのおにぎりが見えるぞ…

遠州織物のおにぎり型の巾着

さっきの宙吊りおにぎりを発見!
かわいい遠州織物の巾着です。
お店の方曰く、「この紐がポイントでね、赤は梅干し、ピンクは鮭、黄色は卵、緑は…(ごめんなさい、こんぶだったかな?)とちゃんと具の色なんですよ~」とのお話。おちゃめでかわいいなぁ~。

ちび巾着からおにぎりが出てきても楽しいし、ちょっと大きなおにぎり巾着からお弁当箱が出てきても面白いですよね!今回、一番心惹かれました。

クリエイターゾーンにはお店が20店舗ありました。
上に載せた製品以外にも、雑貨や衣類、ハギレの販売もあり。

かわいいものが多かったせいか、40、50代〜の女性のお客さんがメインだったような。
ではお次の職人ゾーンへ行きましょう!

染物職人さんの手作業が見れる職人ゾーン

繊維関連事業者さん直販の生地が買える

はままつ染め織りマーケットの職人ゾーンThe GATE HAMAMATSU

場所を移動して、浜松魅力発信館The GATE HAMAMATSU南側の職人ゾーンです。
遠州鉄道新浜松駅と第一通り駅の間のちょうど高架下にあります。
さきほどのAnyから歩いて3~4分。
静岡西部初心者のオチャコは、この短い距離を移動するにも迷っています、あはは!

ここでは遠州の繊維関連事業者による生地販売や、たくさんのワークショップを行っていました。

はままつ染め織りマーケットで販売されていた遠州織物の生地

繊維業者さんの直販なのでたくさんの種類の生地がありました。
ポップでかわいらしい雰囲気。
小さな子の洋服作りにもいいかも!

遠州織物の生地

この生地は落ち着いた色合い。
無地だから使える範囲が広そうですね!
緑の縦じまいいな~、カフェカーテン作りたくなります。

と、思っていたら反物を発見!
夏の着物によさそうな涼し気な雰囲気。
これも遠州織物なんですよね~、いやぁ幅広い!
ほかにはオーダーメイドスーツのお店もありましたよ。
こんなにジャンルを問わない織物って、面白いな~!

職人ゾーンでは、生地や雑貨の販売、 染めの体験や機織り体験、組紐の機械を触ってみたりと体験やワークショップのお店を含めて22店舗ありました。特に生地販売のお店が多かったかな。

遠州織物の製造工程と浜松注染そめ見学

職人ゾーンを歩いていると、遠州織物の製造工程が書いてあるパネルを見つけました。読んでみると…生地の製造工程の大部分をこの地域の会社が担っていることが分かります。江戸時代からの産業が今も脈々と受け継がれているんですね。

STEP 1    綿花…紡績、撚糸
 ↓
STEP 2    綿糸…先染、整経、糊付け 
遠州織物工業組合 
天龍社織物工業組合 
その他
 ↓
STEP3 綿布 
遠州織物工業組合 
天龍社織物工業組合 
浜松織物協同組合 
静岡県繊維資材工業組合
 ↓
STEP4 染色整理加工
(株)二橋染工場 
武藤染工(株) 
日本形染(株)
鈴木晒整理(株)
 ↓
STEP5 テキスタイル(布)完成
 ↓
STEP6 問屋…産卸、卸
浜松広幅織物産元協同組合
浜松織物卸商協同組合
(有)ぬくもり工房
(株)タケミクロス
 ↓
STEP7 アパレルメーカーに納入
 ↓
STEP8 縫製
 ↓
STEP9 販売


そしてパネルを読んだワタクシが次に気になったところ…
それは染物体験!
私は一人で来ていたので見学するだけでしたが、機会があったらやってみたい!
職人さんが体験中のお客さんに優しく教えていると、みるみる間に人だかりができました。みんな興味津々。小さな子も職人さんのお仕事に釘付けです。

この染物は、「浜松注染そめ」。
ある時、染め職人が「遠州のからっ風」という気候的特徴に気付いて遠州に移住、そこから浜松の注染そめが根付いていったそうです。今は浴衣や手ぬぐいなどに使われているとのこと。

浜松注染そめの準備の様子

染色台というのでしょうか、絵柄の型の下に布を置いて、上から特殊な糊を塗ります。

浜松注染そめの絵柄ごとに仕切りを作る様子

薄い糊の上にさらに、絵柄ごと、色を変えたい部分ごとに糊で仕切りを作ります。

浜松注染そめの染料を注ぐ様子

小さなやかんに入った染料を流し込みます。
2色同時に流し込むことできれいなグラデーションに。
この染め方が浜松注染そめの特徴なのかな。

浜松注染そめの染料を注ぎ終わった様子

染料を乾かし、糊を洗い流すとときれいな手ぬぐいになるそうです。
初めて見る光景だったので新鮮で面白かったです。

注染そめは日本独特の技法で、型染より一度に多くの生地を染めることができるのが特徴とのこと。大量生産に向いている技法だと思いますが、工業の機械化への前身のようにも見えますね。

はためく遠州織物

お客さんは若い夫婦からマダムまで幅広い年代です。女の人は手芸の材料を買いに来てるような印象。それから子ども連れのご家族は、遠州織物のワークショップを子どもたちと楽しそうに体験されていました。見ていて微笑ましかったです。 お天気もよかったせいか、屋外ですがとても賑わっていました。

はままつ染め織りマーケットは、遠州織物について、見て、触れて、楽しめる素敵なイベントです。改めて身近な地域の特産品を知れて、ちょっとだけ詳しくなれたかな?

アクセス&MAP

クリエイターゾーンの会場

はままつ染め織りマーケットのクリエイターゾーン会場、Any

染め織りマーケットのクリエイターゾーンは、コミュニティスペースAny(エニィ)です。遠鉄モール街ビルの1階にあります。

浜松駅から徒歩7分ぐらいですが、静岡西部初心者の私は20分ぐらい迷いました、あはは。駅から歩くときは道の途中にAnyの看板は特に見当たらなかったので、「浜松システムサービス」か「遠鉄モール街ビル」を目指してくると分かりやすいと思います。


■MAP Any(浜松市中区千歳町91-1)

職人ゾーンの会場

はままつ染め織りマーケットの職人ゾーンThe GATE HAMAMATSU

職人ゾーンの会場は、The GATE HAMAMATSU南側でした。
遠州鉄道新浜松駅から高架下沿いに歩けば約2分です。
私はAnyからスマホを頼りに歩いて来ましたが方向オンチなせいか小道に入り込んで迷ってしまいました。まずは空を見上げて高架を探してから歩くと分かりやすい…かな。


■MAP The GATE HAMAMATSU(浜松市中区旭町37)